質問
お世話になります。 ドラッグストア勤務です。 職場にデーツが販売されておりますが、生薬のクロウメモドキ科の大棗と、デーツでは、同じ棗でも、効能は違うのでしょうか❓ 乾姜と生姜が、少し違うようなので、 気になりました。 よろしくお願いいたします。
解答
結論:デーツと大棗は植物としては全く別物。ただしどちらも甘味があり、大まかな働きは近い。
・デーツはヤシ科のナツメヤシ(Phoenix dactylifera)の果実
・大棗はクロウメモドキ科のナツメ(Ziziphus jujuba)などの果実
大棗は中薬としてのデータがあり、甘味で微温性、帰経は脾・胃・心・肝などになります。
作用としては「柔」というのも特徴で、実が赤いのもあり、血を補うようなニュアンスも少しあります。(当帰や芍薬みたいな補血薬ほどのものではなく、アシスト程度)
柔とは、肝や心などの臓器が陰血不足でイライラしているときに陰血を補ってイライラを柔らげてやるようなイメージです。専門用語で養営安神(ようえいあんしん)などといいます。
甘いものを食べることで気持ちが落ち着いた経験がある方は分かりやすいと思います。どちらかというと「攻撃的なイライラ」ではなく「余裕がなくて悲しくなったり泣いてしまう」みたいなメンタルの不調が、甘味の生薬の得意とするところです。
このように大棗には中薬としてのデータがあるのですが、デーツはナツメヤシというヤシの仲間であり、北アフリカや中東で使われてきた歴史があるものなので、中国の伝統医学である中医学での薬「中薬」としてのデータはほぼありません。
ただし、薬膳的な考え方を記載しているサイトもあり、その中では概ね大棗と似たような方向性で語られることが多いです。
例えば外部サイトになりますが、下記のサイトではデーツは温性で脾胃の気を養うようなニュアンスで記載がされています。(ただし出典が明記されていなかったので何をもとにした情報かは不明です)
【薬膳の効能】デーツの効能 ナツメヤシとなつめは別もの | 横浜 薬膳料理教室 胡桃の庭 「体質改善の薬膳専門教室」
薬膳の本を開いてみてもデーツについて記載しているものは見つけられませんでした。(あったら教えてください!笑)
とはいえ大きく間違っているとも考えにくいので、効果の程度や守備範囲は別として、甘味の性質で脾胃の調子を整えるという意味ではデーツと大棗は近い役割を示すと考えてよさそうです。