導入
お疲れ様です。薬剤師きたくんです。
今日は「柴胡疏肝湯(さいこそかんとう)」を中心に、似た名前の「柴胡疏肝散(さん)」「柴胡清肝湯(せいかんとう)」とあわせて、**どう違うの? どんな人に使うの?**という疑問にスッキリ答えていきます!
柴胡って漢方ではよく出てくる生薬で、「肝」の気を整えるのが得意なやつ。ですが、入ってる生薬の組み合わせ次第で効き方や適応がぜんぜん変わるんです。
本題
● 柴胡疏肝湯ってざっくりどんな薬?
柴胡疏肝湯は「肝の気の流れが悪くなって、張って痛い」っていう症状に使います。
たとえば…
- ストレスで胸がつまる感じ
- 左脇腹やみぞおちあたりが張って痛む
- 肩こりや頭痛がある
- 胃もたれはないけど、なんか上半身がつらい
こういう「上半身の張りや痛み」がメインの人に使うのがこの薬です。
◆ 構成生薬は?
四逆散(柴胡・芍薬・枳実・甘草)をベースに、
川芎・香附子・青皮を追加。全部で7味です。
この追加された3つがすごくて、
- 川芎・香附子:気も血も巡らせて痛みを和らげる
- 青皮:下腹や脇の“詰まり”を上下に突き抜けさせる感じ
要するに「気も血も巡らせて、痛みや張りをスッと楽にする」構成になってます。
● 柴胡疏肝散との違いは?
名前が似ててややこしいですが、基本的にはほぼ同じと考えてもらってOK。しいて言うなら疏肝散はもうちょっと胃腸寄りです。
こちらは、四逆散に「陳皮・香附子・川芎」を足した7味構成。枳実は枳殻に置き換えられていて、より穏やかにお腹の張りを改善します。
◆ どっちが合う?
- 上半身の張りが強く、ストレス性の痛みがメイン → 柴胡疏肝湯
- 胸〜胃のあたりの張り+ゲップや食欲不振 → 柴胡疏肝散
疏肝湯は「外向き」の張りに、疏肝散は「内向き」な張りや滞りに使い分けるイメージですね。
● 柴胡清肝湯はまったく別物!
ここまで出てきた“疏肝”コンビと比べて、柴胡清肝湯は完全に方向性が違います。
◆ どんな薬かというと…
「イライラしやすい・炎症を起こしやすい・皮膚も荒れやすい」みたいな、小児〜若年層の体質改善に使います。
◆ 構成生薬はなんと15味!
- 柴胡、当帰、芍薬、川芎、地黄(養血)
- 黄連、黄芩、黄柏、山梔子、連翹(清熱解毒)
- 栝楼根、桔梗、牛蒡子、薄荷(咽喉の熱や毒を取る)
- 甘草(調和)
つまり、“熱毒+体質虚弱”の両面にアプローチする処方なんです。
◆ どういう人に使う?
- 扁桃腺がすぐ腫れる
- アトピー性皮膚炎や湿疹を繰り返す
- 疳が強く、キーキー怒る
- 神経質で寝つきが悪い
こういう肝胆風熱+体質虚弱がセットになってる子どもに使われます。
まとめ:3つの処方を比較!
処方名 | 主な特徴 | 適応 |
柴胡疏肝湯 | 気血を巡らせて張りを取る | 胸脇〜肩背の張痛、頭痛などストレス疼痛 |
柴胡疏肝散 | 理気中心で消化器にもやさしい | 胸脇苦満、噯気、口苦、食欲不振などの気滞 |
柴胡清肝湯 | 清熱+養血で子どもの体質改善 | 小児の神経症、扁桃炎、湿疹などの熱毒+虚弱体質 |
おわりに
同じ「柴胡系」の処方でも、症状の出方や体質で使い分けるのがポイントなんですね。
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それでは、今回も最後まで聞いていただきありがとうございました!
また次回、お会いしましょう!